能登半岛地震地质环境灾害関现地调査结果.pdf
- 156 - 能登半島地震の地質環境災害に関する現地調査結果 -その 1 地震動の状況および能登有料道路盛土の被害- 風岡 修 楠田 隆 古野邦雄 笠原 豊 1 はじめに 地震被害地で現地調査を行い,被害とそ の地域の地質環境との関係を明らかにする ことは,本県の地質環境に対応した効率的 な防災対策を進める上で重要である。 2007 年 3 月 25 日午前 9 時 41 分ごろに 能登半島北部の北緯 37 度 13.2 分, 東経 136 度 41.1 分,深さ 11km を震源とするマグニ チュード 6.9 の地震があり,同半島の広い 範囲で深刻な地質災害が起こった。これを 受け,4 月上旬に現地調査を行った。以下 にその概要を述べる。 2 地震動 気象庁震度階の平面分布を図 1 に示す。 最大の計測震度は 6 強で,輪島市門前町を 中心に南東方向にのびをもつ。これを取り 図 1 震度分布(気象庁地震火山月報防災編 2007 年 3 月号および防災科学技術研究所の K-NET,KiK-net 観測点データより作成) 巻くように 6 弱,5 強が分布する。なお, その等値線は北東方向及び北北西方向に並 ぶ傾向が強く,地質構造を反映しているも のと思われる。また,震度 6 強の範囲の輪 島市門前町(旧門前町)や穴水町,七尾市 田鶴浜町では,家屋の倒壊や斜面崩壊など の深刻な被害があった。特に能登有料道路 では,谷を埋めた盛土層部分が崩壊した。 計測震度計による最大震度は,輪島市門 前町の 6.4(6 強)である。また,K-net 観 測点における最大震度は穴水(ISK005)の 6.33 である。ここでは,震源の方向である 西北西方向の周期 1~2 秒の非常に強い揺 れ(最大加速度 845gal)がみられる。 Disp. Orbit cm -25 0 25 N-S -25025 E-W 0-300 sec 図 2 K-NET 観測点 ISK005(穴水)における 加速度波形と変位の粒子軌跡図 - 157 - 3 能登有料道路別所岳パーキングエリアの 南隣の沢の谷頭部盛土被害 こ の 周 囲 は 中 新 世 前 期 - 中 期 に 形 成 さ れた別所岳安山岩類で構成されている。地 層の一般的な走向傾斜は,ほぼ東西~東北 東の走向で北へ約 20 度傾斜している 1。 崩 壊があった付近の地山は,強く赤色風化し た安山岩質火砕岩であり, 礫の含有量は 70 ~75である。 また, 礫やマトリックス (礫 間充填物)の一部は泥軟岩のように軟らか くなっている。道路は地山の凸部を削り沢 に埋めることによって作られた。地震時に この谷を埋めた人工地層が崩壊した。崩壊 土砂が流れ下った沢の中では,谷頭から約 300m のところで毎分数百 L の流量がある ので地山での湧水量は比較的多いといえる。 これらから,盛土は礫質だがマトリックス が泥質なのでそれほど透水性は良くないも のの,周囲の地山には地下水が豊富に含ま 図 3 斜面崩壊の位置図 (国土地理院発行 1/2 万 5 千地形図「下唐川」を使用) 図 4 能登有料道路別所岳PA南東の斜面崩 壊(谷頭部の盛土部分が崩壊した) 図 5 崩壊堆積物が泥流状となり流下した末 端部(粘性が高くゆっくりと流下したため, 木は曲がっている) 図 6 沢の流水状況(谷頭部に近いにもかか わらず,湧水量が多く,沢水が多い) れており,人工地層内にも地下水が豊富に 供給されていたことが推定される。これに より,赤色風化し軟らかいマトリックスの 泥は含水率が高く,強震動によって液性限 界を超え,盛土全体が崩壊し泥流となって 流下したものと考えられる。よって盛土層 内に地下水が溜まりにくくなるように,透 水性が良い粗粒な盛土母材を層状に挟むと いった盛土構造にする必要がある。県内で も南部の保田層群などに同様な地層が見ら れ,このような地層の利用には注意を要す る。 引用文献 1 絈野義夫,山田一夫表層地質図.土地 分類基本調査「穴水・富来・剣地」5 万 分の 1,表層地質図および同説明書,石 川県,19-28(1991) .